スパムメールで拡散するフィッシングマルウェアの動向

AhnLabでは、多くのユーザーから毎日数十件のフィッシングタイプのスパムメールを収集している。フィッシングタイプのスパムメールは大きく二つに分けることができる。1つ目は、個人情報の返信を要求する等、本文の内容自体が偽物のタイプである。2つ目は、メール本文にフィッシングサイトへの接続アドレスを含むことでサイトへのユーザーの接続を誘導したり、フィッシングサイトのスクリプトファイルを添付ファイルとして含んだりするタイプである。本記事では、セキュリティプログラムレベルで遮断する必要がある2つ目のタイプに関して、被害状況およびフィッシング型マルウェアの特徴について説明する。

メール本文に含まれているフィッシングサイトのアドレスへ接続した場合、または添付された HTML ファイルを Web ブラウザで接続した場合に、ユーザーは社内アカウントの ID、またはパスワードなど個人情報の入力を要求されるページにアクセスするように誘導される。今までは内容や雑な画面構成などから、このようなフィッシングタイプのページが正常なページと比べると、疑わしいと感じる部分が多かった。しかし、現在は正常なページと比較しても、ほとんど同じように作られており、個人情報を入力したり、情報が流出しても気づきにくい。

特に、企業ユーザーを対象に、このような攻撃が何度も行われているため、本記事では、攻撃タイプなどについての特徴を詳しく紹介し、攻撃による被害を最小限に抑えることを目指していく。

被害状況

1) ユーザーから収集するメールの状況

AhnLab では、毎日スパムメールを収集しているOOユーザーの1日あたりの収集を基準として、1日に約10~30件の不正なスパムメールを収集している。

2) マルウェア検知状況

AhnLab は、フィッシングタイプのマルウェアを検知するため、様々なポイントを利用して検知パターンを反映している。2021年8月の1か月間で新しく反映したパターンだけでも実際のユーザー環境で検知された数は以下の通りである。約1千あまりのユーザーから約5,400件以上のフィッシングタイプのマルウェアの報告があった。

5,420 Count 949 PCID

ここで述べているパターンとは1:1の単一ファイル検知ではなく、1:N で多数のファイルを検知できる包括的な検知方式に限定したものである。したがって、上記の検知された数は最小件数であり、単一ファイル検知と8月以前に反映したパターンで検知された数まで含めると、フィッシングタイプのマルウェアによる被害はこれよりもはるかに多いものであると考えられる。

スパムメール

1) スパムメールの事例

以下は2021年8月の1か月間にOOユーザーから収集したスパムメールの事例の一部である。企業外部からメールをメールを頻繁に受信するユーザーの場合、疑うことなく不正なサイトにアクセスする可能性が高い。また、社内インフラ関連メールに偽装した事例も確認された。社内インフラ関連のメールは、メール件名、送信者、本文に社名を含んでいる場合が多く、これを信頼する可能性が非常に高いため、注意が必要である。

フィッシングサイト

1) フィッシングサイトの事例

以下は、スパムメール本文に含まれたフィッシングサイトのアドレスにアクセスしたり、添付された HTML ファイルをWeb ブラウザで実行したりすると表示される画面である。これらは共通してユーザーの社内アカウント、または有名サービスアカウントの情報奪取を目的としている。タイトルから背景画像まで精巧に作られているページが多く、ユーザーが正常なサイトであると誤認しやすい。最近では、まるで認証段階を経ているかのように、一定時間でページをリダイレクトする効果を取り入れたフィッシングサイトも頻繁に発見されている。

AhnLab の対応状況

フィッシングタイプのマルウェアは、メールに添付されたスクリプトファイル、またはフィッシングサイトへのアクセス行為が遮断対象である。AhnLab プロダクトラインの検知名は以下の通りである。検知は引き続きアップデートされているため、一部の検知名だけを列挙する。

Phishing/HTML.Generic.S1644 (2021.08.25.02)
Phishing/HTML.Generic.S1643 (2021.08.25.02)
Phishing/HTML.Generic.S1642 (2021.08.25.02)
Phishing/HTML.Generic.S1641 (2021.08.25.02)
Phishing/HTML.FakeExcel.S1632 (2021.08.23.02)
Phishing/HTML.FakeExcel.S1630 (2021.08.19.02)
Phishing/HTML.Redirect.S1621 (2021.08.13.02)
Phishing/HTML.Redirect.S1620 (2021.08.13.02)

IoC

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関連 IOC および詳細な解析情報は、AhnLab の次世代脅威インテリジェンスプラットフォーム「AhnLab TIP」サブスクリプションサービスを通して確認できる。

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